受注時に気を付けなければならない点は、
クライアントは私たちに何を求めているか
ということです。
最終的には、納品された素起こし原稿はリライトされ、
ポイントを絞って読み物になる段階まで仕上げるわけですが、
クライアントは私たちにその作業まで求めているとは限りません。
ボイスライティングでは、まずケバも含めて極力忠実に素起こしをし、
内容のそぎ落としは、次工程で専門のライターや編集部のスタッフが行う場合がほとんどです。
求められていないリライトまで先走ってやってしまうと、
関係者に迷惑を掛けてしまう結果になりますので、注意が必要です。
どこまで手を加えていいかをしっかり打ち合わせで詰めてから、作業に入ります。
もしもライティングまでこなせるボイスライターであれば、
何回か実績を積んでクライアントの信頼を得てくると、
リライトの工程まで併せて引き受けることも可能です。
インタビューを受注した場合に確認するポイントです。
(1)冒頭のあいさつ部分、本題への導入部分も起こすかどうか
特に指示のない場合は、すべて起こします。
どこまでが導入でどこからが本題か、判断がつかない場合には、
すべて起こしておきましょう。
(2)インタビュアー(聞き手)と話し手の名前の表記
インタビュアーと話し手の表記方法には、クライアントごとに細かいルールがありますので、その都度確認します。
名字を書き表す場合、
「Q」「A」とする場合、
聞き手を「――」(ダーシ2つ)で表す場合など、ケース・バイ・ケースで、
これといった決まりはありません。
(3)インタビュアーの発言を、極力そぎ落とすか、それとも発言に忠実に起こすか
インタビューの場合、
聞き手(インタビュアー)の役割は話し手の発言を引き出すことにあります。
そのためにインタビュアーが自分の経験を話したり、
話のきっかけをつくるための導入的な会話をすることがありますが、
主役はあくまでも話し手(インタビューを受けている側)にありますので、インタビュアーの発言は極力そぎ落としていくように求められることがあります。
(4)話し手の個性や口調をどの程度生かすか(口癖を何割程度カットするか)
基本的には、話し言葉のまま起こします。
ケバとりをどの程度するのか、口癖なども残すかどうかなどを確認し、
臨場感あふれる素起こしを心がけましょう。
(5)相づちも起こすかどうか
原則として、「うんうん」「ふーん」「あー、そうですか」「ええ」などの相づちは起こしません。
しかし、相づちではなく、「YES」の意味を持つ「はい」「うん」「ええ」「そうですね」などは、起こすようにします。
相づちか、それとも意味のある言葉かを判断することが必要です。
(6)笑い声などの表現方法
(笑)(笑い)(爆笑)(苦笑)など、
さまざまな表現方法があります。
どのような表現を使ってもいいか、確認しておきましょう。
一般的に「はっはっは…」「あはは…」「ふっふっふ…」など、
笑い声そのものを起こすことはありません。
(7)表記をきちんと整えるクライアントの場合には、以下も確認する
・指定の表記辞書はあるか
・「!」や「〜」を使ってもいいかどうか
・「?」「!」の直後は、1文字分のスペースを入れるかどうか
・リーダは「…」か、それとも「……」か
・適宜、ダーシ「――」を使ってもいいか